東京大学も認めた紫外線UVCの消毒能力
殺菌用紫外線の歴史は古く、1901年には殺菌作用が確認され殺菌用ライトの発売は80年以上前から行われてきました。
紫外線による微生物への殺菌作用は紫外線が生体中の核酸(RNA / DNA)に吸収され損傷を与え核酸の修復機能を失うことにあるというのが定説でした。
RNA / DNAとは遺伝子情報がある場所なので、自分自身の複製を作る=人体の細胞にとりついて感染することができなくなります。
2021年7月に東京大学らグループが発表した内容とは、世界初の新たな方法を用いてこれまでの定説を証明したと同時に、SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)に対しても紫外線UVCの照射によりRNAが損傷し不活化されるメカニズムが確認されました。
「不活性」とは「何もできない状態」です
ウイルスの外側は変わらないのに内部だけを破壊するので、人間に例えれば「脳死状態」といったところでしょうか
また、図のようにワクチンと比較しても感染性の強い変異株や今後発生し得る変異株にも期待されるとの発表もおこなわれました。
参考 : https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/topics_20210705-1.html
電波や光の総称を「電磁波」と呼びますが、紫外線はその電磁波の光の一種であり人間の目には見えません。
太陽から発せられる紫外線のうち、地表まで届くものは「UVA」と「UVB」で「UVC」は地球のオゾン層と成層圏ですべて吸収されています。
また、UVCはUVAやUVBとは特徴が異なり、例えば皮膚の表皮までしか影響しないためいわゆる「日焼け」は発生しません。
紫外線の除菌作用は波長253.7nm(UVC)付近が最も強く、その除菌力は直射日光にも含まれている波長350nm(UVA)の紫外線の約1,600倍にも達します。
新型コロナウイルス VS 紫外線UVC
2020年世界中を襲った新型コロナウイルスについて、世界の複数の大学・研究機関によって、紫外線UVCを用いた実験が行われてきました。
それらによると新型コロナウイルスが99.99%以下(計測不能)まで不活性化するために必要な紫外線量は「およそ10mJ/cm2(ミリジュール・パー・スクエア)」であると確認されています。
いわゆる変異株とは新型コロナウイルスのRNAを構成する遺伝子の一部が異なるだけにすぎません。UVC照射による消毒はRNAごと破壊しますので、すでに確認されている変異株はもちろんのこと今後出現する新たな変異株にも同様に有効といえます。
必要な紫外線量「10mJ/cm2(ミリジュール・パー・スクエア)」とは?
mJ/cm2(ミリジュール・パー・スクエア)とは、紫外線の強度を表す単位の mw/cm2(ミリワット・パー・スクエア) に 時間単位 秒をかけた 「積算照射量」のことです。
強度が強ければ短時間、弱くても長時間照射して10mJ/cm2(ミリジュール・パー・スクエア)に達するころには、ウイルスの99.99%以上が不活性化するという事を指します。
UVCの紫外線は通常ミリワットの1000分の1の単位、μw=マイクロワットで表されることが多いので、以降μw/cm2(ミリワット・パー・スクエア)に変換して進めていきます。
10mJ(ミリジュール)は10000μJ(マイクロジュール)ですので、紫外線計測器で測定した強度の数値(μw/cm2)で割ることで必要な時間が求められるということです。
紫外線のUVC波は、一般的に知られる紫外線UVA波と比べても普通の空気の中でも非常に減衰しやすく、当社で取り扱っている強力なライトでもライト表面は2000μw/cm2を超えるものもありますが、3,4m,と離れると数μw/cm2程度になってしまいます。
換気や空気清浄機の落とし穴
2021年5月にWHO(世界保険機関)とともに世界の感染症に対応する専門機関CDC(米国疾病対策センター)は、接触感染、飛沫感染、空気感染のうち《空気感染が最も注意すべき感染経路である》と見解を見直しました。
空気の流れがあまり無い場所では感染者がいてもウイルスを多く含む飛沫は比較的短距離で床に落ちてしまい、他人が感染するにしても短距離にいる人など限定的と考えられてきました。
また、初期の頃の新型コロナウイルスでは空中に拡散し濃度が薄まっていれば、数少ないウイルスを吸い込んでも感染には至りにくいとも言われていました。
しかし、最近の変異株では少数のウイルスでも感染する可能性が高くなっているいわれています。
つまり、換気や空気清浄機などで室内に気流を発生させることは空中を漂うウイルスをより遠くまで拡散させる側面も併せ持っており、状況によっては逆に「感染クラスター化」しかねないのです。
また壁面や床、天井、家具等に付着したウイルスは換気の勢いでは取れないケースも考えられますが紫外線照射であれば消毒可能になります。